炭素繊維(CFRP)の表面改質 ― 接着・含浸・積層工程の安定化を実現する大気圧低温プラズマ処理 | 事例 | 大気圧プラズマ事業サービスサイト:サンライン
Yours + Plasma
Yours + Plasma

Case studies

事例紹介

炭素繊維(CFRP)の表面改質 ― 接着・含浸・積層工程の安定化を実現する大気圧低温プラズマ処理

炭素繊維(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)は、高強度・高弾性率・軽量という優れた機械的特性を有し、航空宇宙・スポーツ・次世代モビリティ分野などで広く利用されています。 一方で、炭素繊維の表面はグラファイト構造を持つため非常に化学的に安定しており、樹脂との界面接着性が弱いという課題があります。 当社の大気圧低温プラズマ処理技術は、この炭素繊維表面に極性官能基を導入し、接着性と含浸性を大幅に改善します。

大気圧低温プラズマによる炭素繊維表面の活性化

炭素繊維の表面は、炭素原子が強固に結合したグラファイト層で構成されており、通常の化学処理では濡れ性や接着性の改善が困難です。 当社の大気圧低温プラズマ処理を適用することで、酸素・窒素などの元素を含む活性種が炭素繊維やCFRPの表面に反応することで表面改質します。この改質により、樹脂との界面エネルギーが上昇し、含浸性および接着強度が飛躍的に向上します。 また、当社の装置はマルチガス仕様で、酸素・窒素・二酸化炭素・空気などのプラズマガスを切り替えることで、処理対象物に最適なラジカル種を生成可能です。 非接触かつ低温のダメージフリー処理により、炭素繊維やCFPRの表面の構造を損なわずに改質効果を付与できるため、強度・外観を維持したまま高い密着性を実現します。 さらに、大気圧下で動作するため真空装置が不要で、既存のプリプレグ製造ラインや含浸工程、さらには組立工程への組み込みも容易です。

水接触角による改質効果の確認

未処理のCFRPは強い撥水性(疎水性)を示しますが、大気圧低温プラズマ処理後は水接触角20〜30°まで低下し、高い親水化効果が得られます。 以下に、CFRP表面の処理前後の水滴の様子を示します。

Before:水滴が丸くなっている様子
After:水滴が広がっている様子

参考事例と期待される効果

事例① ドローン(CFRPアームの接着強度向上)

大気圧低温プラズマを導入することで、CFRP製アームにおける煩雑な接着前工程や接着不良による欠陥を低減し、非接触・非侵襲による接着前工程の改善や、濡れ性向上による接着強度・ムラの改善により品質向上が期待されます。

事例② 風力発電ブレード

大気圧低温プラズマを導入することで、CFRPブレードの層間剥離リスクを低減し、 長期耐久性向上、補修頻度低減が期待できます。

業界別の導入メリット

ドローン・モビリティ業界

導入メリット:軽量構造部材の接着強度向上、含浸性の安定化、製品寿命の延長

お問い合わせ例:「CFRPの樹脂含浸ムラを改善したい」「接着不良による剥離が発生している」

風力発電・エネルギー業界

導入メリット:長期使用時の層間剥離リスクを低減、補修性・耐久性の向上

お問い合わせ例:「CFRPブレードの耐久性を向上させたい」「環境負荷の低い改質方法を探している」

ロボット・精密機器業界

導入メリット:薄肉部材でも安定した接着性を確保、軽量化と剛性向上を両立

お問い合わせ例:「精密CFRP部品の接着強度を改善したい」「構造材の軽量化を維持したい」

開発・試験対応のご案内

当社では、CFRPをはじめとする複合材料に対して、

・表面改質効果の確認(接触角測定・表面分析)

・最適条件の検討(プラズマ生成方法・ガス種・処理時間)

・量産ライン適用に向けた実証試験

などを一貫してサポートいたします。

炭素繊維の濡れ性や接着性に課題をお持ちの方は、 まずは受託実験やラボレンタルにて最適条件の検討を行ってみてください。 素材特性や工程に応じたプラズマ処理ソリューションをご提案いたします。お気軽にご相談ください。

※ 本記事は、炭素繊維(CFRP)の大気圧低温プラズマ処理事例をもとに構成しています。ご興味のある方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。